短期留学のみでも中国と関わるチャンスは自分で作れる(2/2)

中国留学へのターニングポイントは人それぞれ。
中国留学経験者へのインタビューを通して、様々な留学体験と帰国後の進路・就職等をご紹介します。

今回は、稲垣信さんのインタビューです。

稲垣さんは現在神奈川県日中友好協会で活動されていますが、中国への長期留学経験はありません。短期留学だけでどのように中国とのつながりを維持しているのか?などに迫ります。

本記事は「短期留学のみでも中国と関わるチャンスは自分で作れる(1/2)」からの続きです。


プロフィール

稲垣 信(いながき しん)。神奈川県鎌倉市出身。

大学では社会学を専攻し卒業。大学時代は上海大学・同済大学で短期留学を経験。また、留学を契機に上海杉逹学院大学で日本語を学ぶ大学生と交流を深める。その後、神奈川県日中友好協会青年学生部会(チャイ華)に所属。

現在、会社員として働きながら、神奈川県日中友好協会青年学生部会長。

中国で成長できたことが就活に役立った

―就職活動では、中国での経験は活かされましたか?

留学での経験、積極的に行動したということを自己PRに書きました。
中国とつながっていたいと思っていたので、主に中国に子会社などがあるメーカー等80社くらいにエントリーしました。でも、リーマンショック後の就職活動だったので、語学を活かせる会社には内定をもらうことができませんでした。
留学で培った行動力や積極性という部分では活かせたところもあったと思います。

―就活で中国についてふれたとき、先方の反応はどうでしたか?

あまり大きく響いた感じではなかったですね。特に掘り下げられもせず。

―そうだったんですね。就職活動をする中での中国の価値について、どう感じましたか?

私が就活をしたのは10年ほど前のことなので、その当時だと中国と言ってもあまりいい反応が得られなかったんですが、今は違うと思います。
当時は、HSK(漢語水平考試)を知らない企業も多かったですよ。中国語検定の方はまだ知られていましたが。
あとは、私は1か月だけの短期留学だったので、あまりアピールにならなかったというのもあるかもしれないですね。
語学はさておき、中国で培った行動力や積極性は、就活という場面で役に立つので、個人的に価値がなかったわけではないと思います。

―最終的に、中国と関わる仕事をされているんですか?

現在の仕事では、全く関わりがないんです。
でも、留学で人間性を成長させることができたので、積極性やコミュニケーション能力という点では役に立っていますよ。

―では、社会人になってからは中国と関わる機会はなくなってしまった?

社会人1年目は仕事ばかりで中国に関わる機会はほとんどなかったんですが、2,3年目になると少し余裕ができて、自分の時間も作れるようになりました。
実は学生時代、神奈川県日中友好協会の青年学生部会にある「チャイ華」というボランティアグループに所属していたんですね。社会人になってからまたなにか中国と関わることをしたいなと思って、そういうものがないかネットで検索したら、結局また神奈川県日中友好協会がひっかかった(笑)。
それで再び活動に参加し始めました。社会人4年目には、いよいよ自分の時間をうまく使えるようになったので、徐々にチャイ華の活動に積極的に関わるようになりました。現在も所属しています。

―社会人になってからもチャイ華に参加しようと思った理由はなんですか?

1年に1回程度イベントを担当するというペースなら、社会人でも良い距離感で中国とつながっていられると思ったんです。自分で企画するイベント以外は、チャイ華の他のメンバーが企画したものに参加するとか、神奈川県日中友好協会のセミナーや勉強会などの情報ももらえますし。
また、社会人になってから同年代の中国が好きな人と知り合える場ってなかなかないので、メンバーとの出会いという点でもメリットがあると思います。

―どうしてそれほどまでに中国に関わり続けたいと思っているんですか?

大学時代の思い出がというのが1番大きいんじゃないかと、今は思っています。大学時代に出会った友人と今もつながっているし、今後もつながっていたいと思っていますし。
上海杉達大学に交流旅行に行ったときにできた友人とは、上海に行った際には必ず食事をして近況を報告しあっています。
それから、今まで活動を継続できているのは、中国とのつながりがあるチャイ華メンバーとの交流自体が面白いというところがありますね。一緒に旅行に行ったり、BBQをしたり、宅飲みしたり、遊んだり。社会人になると会社以外の人や、もとから友達じゃない人と遊ぶというのがすごくレアですよね。そういう第3の仲間みたいなのができるのが面白いです。

―今後仕事で関わることはありそうですか?
今の仕事で中国に関わるには、かなり強く主張しても通るかわからないという感じなので、厳しいですね。
むしろ長いスパンで考えると、別に仕事で関わることにはこだわっていなくて、ライフプランとしては、定年退職したときぐらいに中国で暮らすなどできたらいいなあと思っています。

―ちなみになんですが……薬局の女性とは今は?

大学1年の夏、2年の夏と冬には会えたんですが、そのあとは故郷の広東省に帰るということで、残念ながら会えなくなってしまったんです。
当時はWechat(中国版LINEのようなアプリ)とかもなかったので、やり取りはずっと手紙だったんですよ。住所も薬局の住所しか知らなくて。音信不通になってしまいました。

―それは残念ですね。SNSがなかったことが悔やまれますね。

はい。でもいい経験をさせてもらいましたし、いい思い出です。

―この先はどのような活動をしていきたいと考えていますか?

日中友好協会の、全国各都道府県支部の青年委員会の代表者が集まった「全国青年委員会」というものが数年前からはじまりました。全国青年委員会メンバーによる訪中団などの活動もしていて、このような形で若者が中国に行く機会があるというのは、神奈川県日中友好協会からみても貴重な機会だと思っています。いまは1人で中国の友人に会いに行くとか、どの街に行きたいとかいう欲はなくなってきていて、全国青年委員会の仲間と活動していけたらいいなと思っています。

日中友好協会にいると、全国の仲間たちの活動を知ることができ、こうしたことを草の根で頑張っている人がいると、自分も頑張らなくてはと思えます。切磋琢磨しながら活動を続けていきたいと思っています。

それから、大学生のときお世話になった日中文通クラブがなくなってしまって。そこで実施していたような、日本人大学生と中国人大学生が交流するプログラムを、今度は私が実施したいなと考えています。

―自分が大学生のときにした経験を、今度は次の世代に提供したいということですね!素晴らしいですね!

そうなんです。私が大学1年の冬に経験した留学のときのように、「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。」ということを、ぜひ今の大学生に体感してほしいんです!
最初は少人数からでも、中国に訪問さえすれば、大学生はなんでも素直に吸収できるのでたくさんの気づきを得ることができると思います。こんな貴重な経験ができるということを気づかせてあげたい。
2年に1回など無理のない範囲で、実現させたいですね。

―ありがとうございました。最後に、今後中国と関わってみたいという方、中国を知らないという方のために一言いただけますか?

百聞は一見に如かずということで、ぜひ一度中国に行ってみてください!
生で感じた中国が、テレビと同じなのか、違うのか、確かめてもらいたい。それを周りにも伝えてもらえればと思います。

訪れるほど興味はないんだよなぁ…と思ったあなた!ぜひ、気軽に你会のみなさんに相談してみてください(笑)。きっと的確なアドバイスをもらえるはず。その行動が未来への一歩!

―我々のPRまでしていただいて、ありがとうございます(笑)。

いえいえ。こちらこそありがとうございました。


你会では、中国留学を希望するみなさんに、中国語講座・マナー講座留学前研修留学サポートなどを行っています。