3か月で耳はなれるが、話せない

9月から授業が始まったが、あっという間に前期が終了した。時間の流れが非常にはやく、中国での生活にわくわくしていた頃がつい最近の出来事のように感じている。
1学期という区切りが終了したので、私の留学生活の振り返りをする。

学習面について

私が留学前に作成した学習計画書において、学習面では、中国へ留学する目的を「リスニング力の向上」としていた。

授業は全て中国語であり、自分が生活する寮では日本人が私ひとりだったため、中国語を耳にする頻度が非常に高かった。9月の授業では、先生の話が全く聴き取れず精神的に毎日が苦しかったが、先生や友人から3ヶ月ほどしたら慣れると励まされ、聴き取れなくても途中で諦めて集中力を切らさないようにした。

もちろん、3ヶ月間何もせずにリスニング力が向上されることを待っていたわけではない。9月はボイスレコーダーを用いて先生の話を録音し、寮に戻った後わからない部分を再度聴き直していた。10月頃からは聴き取れなかった部分のピンインを教科書に記入していた。結果として11月中旬から、授業も楽しいと感じるようになり、中国人の友人と話す回数も増えた。まだ一般人の話すスピードにはついていけないが、半年の留学生活を経てリスニング力は向上したと実感している。

中国語を聴き取れるようになるにつれて新たな課題が浮き彫りになった。自分の言いたいことがなかなか言えなくなったことである。私は今までリスニング力が著しく低かったため、会話が長く続くことがなかった。そのため、リスニング力が向上し会話が長く続くにつれて、話が具体的になるということを想像できていなかったのである。その結果、具体的な話になると、自分の言いたいことを言えないという問題が発生した。

上述したように、今私はリスニング力と話す力の2点の課題を抱えている。この2点の課題をクリアするためには中国語での会話を増やすだけでなく、普段自分の頭の中で考えていることを中国語でアウトプットすることが必要だと感じた。新たに課題を発見したが、これはリスニング力が向上した結果であるとポジティブに考え、これからも勉学に励んでいく。

生活面について

生活面における中国留学の目的は「中国の文化・価値観を知ること」としていた。

北京に来て最初に衝撃を受けたことはIT技術である。バーコード決済やインターネットショッピング、出前などスマートフォンを1台持っていれば学校の外から出ずに快適な生活を送ることができる。これで仕事も家でできるようになれば、非常に狭いコミュニティで生活できる社会が到来するかもしれないと感じた。

次に、家族間の繋がりが日本人と比べて強いことである。特に祖父母との関係が強いと感じた。核家族化が進んでいる日本と違い、3世代が一緒に生活し祖父母が孫の面倒をみる家族が多いようで、中国の友人達から育児休暇という単語が出てこない理由はこの文化が根強いからだと感じた。

上述した内容はほんの1部分であり、前期を通してさまざま中国の文化・価値観を知ることができた。しかし多くの人に聞くことはできなかったため、後期は老若男女関係なく積極的に交流し、さまざまな人の考え方を吸収していきたい。(小川一馬 北方工業大学 2019年)

ABOUT US
Ryohei ISHIZUKA京都府日中友好協会 青年委員会青年委員長
日本の最大手通信キャリアに勤務の後、中国系通信キャリアの日本法人に転職。現在は企業向けのグローバル人材育成を支援する会社でコンサルタントとして勤務。 また、若者のキャリア構築に関心があり、勉強している認知科学を応用したコーチング理論を勉強しており、これまで延べ100名以上のキャリアサポートを行なった実績があります。 内閣府主催「日本・中国青年親善交流」事業における2020~2023年研修講師を担当。2024年には日本・中国青年親善交流事業に参加。