中国SNS事情 -マーケット動向とトレンド-

中国に留学して早くも3ヶ月が経過しました。留学前に描いていた成長曲線に追いつけず、もどかしい気持ちで毎日を過ごしています。

現在は複数の授業で期末課題が重なり、レポート作成やプレゼン準備に追われていますが、この山場を乗り越えることで成長できると信じ、地道に努力を続けていきたいと思います。

今回のテーマ「中国で流行っていること」について、私が実際に使って驚いたSNSやECプラットフォームを中心に、中国での生活で得た活用法も交えて報告します。

【SNS】
中国ではSNSの利用頻度が非常に高く、留学前に抱いていたイメージ通りでした。しかし、各SNSの使い分けや若者の利用方法には独自の特徴があり、とても興味深いです。

  1. 小红书美しい写真や動画を楽しむSNSという認識でしたが、それ以上に「検索ツール」としての役割が大きいと感じました。食べ物や旅行先、また日常の問題解決まで、小红书で検索するのが中国人の習慣になりつつあるようです。たとえば、中国人の友人がWeChatアカウントの凍結解除方法を調べる際も、小红书を活用していました。もはや情報発信の場を超え、生活の必需品となっているようでした。


    アルゴリズムで自分がよく調べる内容に近い動画や写真が上がってきます。上のタブで自分の近隣地域の情報も取れるようになっています。

  2. 抖音日本でのTikTokに相当する抖音は、ショート動画のSNSに加え、買い物アプリとしても大きな役割を果たしています。ショッピングタブにある購買サイトで割引商品を見つけられる点が便利で、私も抖音で非常にお得にチョコレートを購入しました。他では出会えない驚くような値引きがされている商品も散見されます。先日上海でECでの販売事業をしている方に話を聞く機会があったのですが、抖音の販売プラットフォームとしての伸び率が著しいため割引を仕掛けるときは抖音を積極的に活用しているとのことでした。将来的には淘宝や京东に匹敵する存在になる可能性もあると聞いています。


    上のタブの「商城」を押すと割引情報が大量に掲載されています。

【ECプラットフォーム】
中国ではECが生活に深く根付いており、お店で気になる商品があった際はECアプリの写真検索にかけて価格をチェックするというような使い方もされています。

購買意欲旺盛な14億人を抱える中国のEC市場では、どのようなサービスが展開されているのか非常に興味を持っていました。現在は、主要な3つのプラットフォームが競い合いながら市場をリードしているようです。

  1.  淘宝アリババが展開する中国最大手のECプラットフォームで、圧倒的知名度と幅広い商品バリエーションが特徴です。物流網の整備も進んでおり、日本でも名前が知られています。淘宝ではあらゆる商品が検索可能で、「見つからない宝物はない、売れない宝物はない」というサービスコンセプトを体現しています。また、ライブコマースも盛んに行われており、SNSのような感覚で見ても面白く感じます。出店しゃへの審査基準が比較的厳しく、偽物リスクが少ないという安心感を持たれている印象です。
  2. 京东アリババと並ぶEC大手で、特に家電や高額商品の購入に強みがあります。京东では商品の本物保証やアフターケアの充実が特徴で、故障時の対応やカスタマーサポートの手厚さが信頼のポイントです。中国人の友人に電化製品の購入の相談をしたところ京东が安心おすすめされました。残念ながら私自身はまだ利用したことがありませんが、今後電化製品を購入する際はぜひ試してみたいと思います。
  3. 拼多多2015年に設立された比較的新しいプラットフォームながら、急成長を遂げています。拼多多は「拼单(共同購入)」という仕組みを活用し、複数人で購入することで単価を下げるモデルを採用。これにより、消費者はより安価に商品を購入でき、売り手も一定量の販売を保証されるというWin-Winの構造を実現しています。私自身、淘宝で購入できなかった際に拼多多を利用しましたが、淘宝よりも1~2割ほど安く購入することができました。しかし、その価格の安さから偽物のが高いという印象が強いようで、友人からは注意を促される場面もありました。

    それでも、今のところ品質に問題のある商品には当たっておらず、満足度は高いです。拼多多は上海のような大都市での利用はそこまで多くなく、特に地方都市での利用が多く、都市部とは異なる購買者への展開がされているようです。


    この写真は淘宝のものですが、どのECアプリも似たようなデザインになっています。日本のECサイトと比べると少し情報量が多い印象を受けます。

【デリバリーサービス】
SNSでもECでもありませんが、デリバリーアプリも中国独特の発展を遂げていると思うので、一つだけ触れておきたいと思います。

  • 美团
    アプリで簡単に飲食物のデリバリーや生鮮食品、日用品などを購入することができるアプリです。注文をすると大体30分程度であらゆるものを届けてくれます。上海の街を歩いていると、美团の配達員をあちこちで見かけるので、どれだけ多くの人が利用しているかがよく分かります。このアプリが生活に欠かせない存在になっていることを肌で感じます。私もほぼ毎日利用しますが、デリバリーだけではなくカフェやファストフード店のモバイルオーダーツールとしても利用しています。座席や道中で注文ができる便利さの他に、頻繁に割引クーポンなどを発行しているためレジで購入するよりも安くなることもしばしばです。ほぼ毎日使っているので、日本に帰ったら美团が使えなくなるのを考えると、不便になりそうで少し心配です。それくらい、今の生活に欠かせないくらい便利に使っています。

以上、さまざまなサービスについて思うままに書き連ねましたが、中国で生活しているからこそ気づけたマーケットの動向やトレンドを、これからもさらに深く知っていきたいと思います。(若林郁未, 華東師範大学, 2024年)

ABOUT US
Ryohei ISHIZUKA京都府日中友好協会 青年委員会青年委員長
日本の最大手通信キャリアに勤務の後、中国系通信キャリアの日本法人に転職。現在は企業向けのグローバル人材育成を支援する会社でコンサルタントとして勤務。 また、若者のキャリア構築に関心があり、勉強している認知科学を応用したコーチング理論を勉強しており、これまで延べ100名以上のキャリアサポートを行なった実績があります。 内閣府主催「日本・中国青年親善交流」事業における2020~2023年研修講師を担当。2024年には日本・中国青年親善交流事業に参加。