残された留学期間も残り2ヶ月と少々となった。時間が過ぎるのは本当に早い。
昨年9月に留学が始まるまではあまり中国人と関わったことがなかったが9月以降、授業や中国人との交流を通して最近では中国や中国人に対する理解もだいぶ深まったと感じる。今回は僕が特に面白いと思った中国の方言について書きたいと思う。
中国にはたくさんの方言があって、異なる方言を話す者同士だと、相手の言っていることがわからない時もあるほど違いが大きいというのは有名な話だ。例えば普通語と大きく異なる広東語は多くの中国人にとってもはや外国語のようなものだ。
そんな多種多様な方言がある中国ならではだと感じる出来事があった。先日、ある場所で声をかけてきた方の日本語があまり流暢ではなかったので、どこの国の人かと尋ねてみた。すると、たまたま中国人だったので、しばらく中国語で会話をしていた。だが、僕の中国語を聞いた彼は、僕が話しているのは中国のどこの方言だと聞いてきたのだ。
僕が普段習っているのは普通語で、その時僕が話していたのもおそらくあまり流暢ではない日本訛りの中国語だったと思う。だが、彼は僕の完璧ではない中国語を聞いてどこかの方言ではないかと考えたそうだ。このような感覚は日本人にはない。日本人は日本語ネイティブではない海外の方が話す日本語を聞けば、それは単純に外国人が話す日本語だと感じるだけだ。決してどこの方言かなどは考えない。
またある日、中国人の友達に中国人にとって、かっこいい、かわいい方言はあるのかと尋ねてみた。すると彼は、台湾弁はかわいいと思っている人がいると言っていた。
彼は生まれも育ちも通っている大学も北京で、生粋の北京人なのだが、彼いわく、普通語以外はほとんどダサくて、人前では決して言わないが、いくつかの地域の方言は特にダサいと言っていた。日本でも方言についてメディアで特集されることもあり、特定の方言にたいしてかわいいとかダサいとかいう感覚はあるのでこの点については日本人も中国人も同じだと感じた。
僕が特に面白いとおもったのは、北京弁も決してかっこいいものではなく、北京弁を聞くと、彼の頭の中に浮かぶのは、暑い夏の日にタンクトップを着た中年のおじさんなのだとか。(笑)これを聞いて僕は驚いた。僕のイメージだと北京は中国の経済・文化・学術の中心地かつ首都であり、日本でいうと東京にあたるため、そこの方言はどちらかというと都会的でスマートなものだと思っていたのだ。今回はあくまでもその友達一人に聞いた話で、他の中国人がどう思うかはわからないが、僕の中国の方言に対する興味はますます強くなった。(染谷圭秀 北京第二外国語大学 2020年)