退職して中国留学に臨むもコロナでオンラインに

留学準備のため、3年間勤めていた会社を退職してしまった。世間的にはコロナ失業と思われてしまうかもしれない。

しかし、何か新しいことに挑戦するのが好きな私は周りに何を思われようが、自分の決めたことに後悔はしていない。元々、外国の文化を学ぶことが好きだったが、中国語を本格的に勉強し始めたのは社会人になってからだ。仕事をしながら学習を続けるのは容易なことではなく、検定やHSKなどを地道に受験し、このような素晴らしい機会を頂いた矢先にコロナウイルスが蔓延してしまった。仕事を辞めてからは、外出制限もあり自宅で学習することが多かった。中国語教室を探すも、外出して感染リスクが高まることに恐怖を感じ外に出られなかった。中国人の友人と連絡を取ったり、ドラマを見て日常会話を勉強し日々を過ごした。

夏になり、留学時期が迫ってきたが一向に渡航許可が下りず、採用大学からも連絡が無い日が続き不安と焦りでいっぱいの日々を過ごしてきた。だが、それは世界中の留学生も同じ状況である。私だけでは無いと思うと気持ちが少し楽になった。本来であれば、現地に行き、町の様子や留学生同士の交流を夢に見ていたが、オンライン授業を受けることにした。このような状況になったことを悔やむ気持ちをいつか必ず現地に行って勉強しようという気持ちに変えていこうと思う。

(画像1:教科書が無いオンライン留学生は、先生が資料を送ってくれる。授業に備えて印刷し、書き込めるようにと準備した。)

私の大学は、9月中旬から授業が始まった。クラス分けテストができない為、レベルに合ったクラスを自ら選ばなければならなかった。自分が現在どのくらいの能力があるのか、決めるのは難しく、授業に追いつけなくなる不安を考慮し下から二番目のクラスにしてみた。日本人の生徒は私を含め2人だけ、ヨーロッパやアジアを中心にクラスメイトが出来た。

また、世界各国に留学生がいるので、オンラインだと開始時刻に時差が生じる。時間割は、北京時間で共有されているので、私は間違えないようにと、日本時間の時間割を作成した。オンライン授業は、家族の協力も必要だと感じたので、時間割を共有している。授業の共通言語は英語になるが、中国語も英語も勉強できるので嬉しく思う。

オンライン授業を受講し、不思議に思ったことがある。それは、顔を見せずに授業をすることだ。日本のオンライン講座などはホストとゲストはカメラ機能をONにし、顔を見せながら進めるのが一般的である。しかし、誰も顔を見せずに授業が進んだ。最初は先生も顔を見せていたが、次第に音声のみになっていった。私は、ますます教室で授業を受けたいという気持ちが強くなった。

(画像2:パワーポイントを見ながら授業が進む。顔が見えないのに二人組で会話練習をすることも…。)

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが、オンライン授業を開始して二日後、大学からメールが届いた。留学を延期できるとの内容だった。私の当初の希望は、現地に行って勉強をするということである為、春学期入学にすることを決意した。わずが一週間でオンライン授業を終えることになったが、この時期にしかできないことを経験させて頂いた。そして、クラスのWeChatグループを退出しなければならなくなり、先生とクラスメイト達へ向けたメッセージを送った。春に会えることを期待し、「祝你好运!明年春天见。」と皆が言ってくれたのが励みになった。

日々何が起こるかわからない毎日で、果たして春に無事に渡航できるのかもわからないが、半年間の準備期間を頂いたと思い、残りの時間を有意義に過ごしたいと思う。(池田優美香 復旦大学 2019年)

ABOUT US
Ryohei ISHIZUKA京都府日中友好協会 青年委員会青年委員長
日本の最大手通信キャリアに勤務の後、中国系通信キャリアの日本法人に転職。現在は企業向けのグローバル人材育成を支援する会社でコンサルタントとして勤務。 また、若者のキャリア構築に関心があり、勉強している認知科学を応用したコーチング理論を勉強しており、これまで延べ100名以上のキャリアサポートを行なった実績があります。 内閣府主催「日本・中国青年親善交流」事業における2020~2023年研修講師を担当。2024年には日本・中国青年親善交流事業に参加。