中国に行って、中国語を勉強したい、中国人の友達をたくさん作って、彼らとの交流を通してリアルな中国文化を学びたい。願わくば日本にも関心を持ってもらって、自分の文化や言葉を共有できる機会が欲しい。中国留学に行く人のほとんどはこのような意気込みを胸に抱いて現地に向かうのではないでしょうか。
ただ、いざ中国について学生生活が始まっても、日中交流の機会を見つけるのは容易ではありません。中国での生活全般においてですが、とにかく自発的に、積極的に動くことが求められます。
私の中国での最初の中国人との交流らしい交流は学校が手配してくれた「学校生活サポーター&言語交換パートナー」でした。入学前に簡単なアンケートがあり、国籍、使用可能な言語、宗教の有無、などの項目に答え、学校がそれぞれの適性に合わせて現地学生パートナーを紹介してくれます。
私は到着して一週間後にその相手から連絡をもらいましたが、「何か困っていることはあるか」「特にないけどありがとう」というやり取りのみで終わってしまい、少し後悔しています。中国人の友達を作ってみたいと思う一方で、中国語を喋ることへの抵抗や、留学生同士で遊ぶ気楽さが大きく、実際に行動を始めるのに少し時間がかかってしまいました。
中国生活に慣れてきた10月頃に近隣の大学が開催していた日本人学生の歓迎会、北京にある日本語学院が主催する日中交流会、インターネット上の言語交換相手探しなど、積極的に新しい人と会うようになりました。ご飯を食べに行ったり一緒に勉強したり旅行をしたりと、今でも連絡を取り続ける大切な友人と出会うことができました。
日本にある程度興味がある人が集まる場所で出会うとき、日本人であることがアドバンテージになる環境が新鮮に感じられる一方、失望させないようにふるまいに気を付けなければというプレッシャーもありました。お互いの国の文化に興味があるといっても、それはあくまできっかけでしかなく、そこからの関係は人対人で作り上げていかなければいけません。(松尾美欧 清華大学 2019年)