早めにHSK6級に合格すると後が楽

中国留学を開始して約半年が経ち、いよいよ前期を振り返るタイミングとなった。

ここ2ヶ月ほどは周知のとおり、コロナ問題で状況が目まぐるしく変わり、いち中国留学生として大きな影響を受けている。1月半ばから始まった春休みは、2月末の今も続いており、新学期開始の目途は立っていない。期末テストが終了するな否や日本に帰国し、その後もともと予定していた韓国旅行に来たが、すぐに中国に戻ることも躊躇われ、日本に再度帰国するのももったいなく感じたため、そのまま韓国に滞在している。中国にいるはずだった10ヶ月のうち少なくとも2ヶ月は韓国で過ごすことになりそうだ。完全に予定外であり、限られた中国生活の時間が大きく削られてしまうことは悔しいが、学校に行かなくても勉強はできるので、無為に過ごさないように心がけている。

思い返せば6か月前、私はここでの生活にとにかく戸惑うことばかりだった。アリペイ・wechatペイはインストールしたものの、銀行口座がないと使えず、銀行口座を作るためには学生証が必要で、学生証がもらえるのは入学手続きを終えた後になるとのことで、たった2週間ほどだったが、中国での現金生活に大きなストレスを感じたことを覚えている。

配車アプリや食べ物の出前、オンラインショッピング、シェアサイクルなども実際に使えるようになるまではかなり時間がかかり、聞いていた話と違って中国生活はなんて不便なんだろうと感じた。

LINEやYoutubeなど、今まで当たり前のように使っていたアプリが急に使えなくなってしまったことも、慣れるまでに少し時間を要した。中国語を喋った経験もほぼ無く、言葉が通じない、文化の違う国でこれから1年間生活していくことを考え、最初の数日は不安でいっぱいだった。しかし1ヶ月経つ頃にはすっかり慣れて、新しくできた友達と中国生活を思いっきり満喫していた。

第一回目のレポートで3つの目標を設定していたので、ここで一度中間の振り返りをしたいと思う。①HSK6級合格
→2020年1月に合格。ただし問題内容を正確に理解できた部分は少なく、運がよかったといえば身も蓋もないが、実際の中国語能力とはまだまだ差のある点数だと感じた。それでも目標の一つを留学半ばで達成できたのと、これ以上資格勉強に時間を割かなくてよいのは嬉しい。これからは会話能力を伸ばしていきたい。

②中国語を喋ることに対しての苦手意識をなくす
学校内で、相手から話しかけれれば何とか対応することができる、初めに比べて緊張もしなくなった。ただし自分から話しかけなければいけない状況になると、まだ躊躇ってしまうことが多い。思ったことをぱっと口に出せるようになったら中国での生活も、友達との会話ももっと心地よくなるだろうと思うと楽しみで、更に努力が必要だと感じる。

③自分なりの草の根交流の意義を見つける
これには大きな進歩があった。自分が実際に中国に行き、生活する中でたくさんの中国人に出会い交流していくと、渡航前に比べ、中国関連のキーワードがとても身近に感じられるようになった。

たとえば中国人と聞いたときに頭に浮かぶのは、東京で見かける観光客のぼんやりとしたイメージではなく、ここで出会った新しい友人たち、学校の先生など、すでに私の中にいる顔と名前を持った存在と強く結びついている。逆に友人のなかには私が初めて出会う日本人だという子もいた。

私の行動一つ一つが、彼らの日本に対する考えに影響を与えるのではないかと思うと少し緊張するが、これこそが人と人が直接交流することの醍醐味なのだと思う。いつ中国に戻れるかはまだわからないが、残りの時間で、さらにここから個人ができることを見つけていきたい。(松尾美欧 清華大学 2019年)

ABOUT US
Ryohei ISHIZUKA京都府日中友好協会 青年委員会青年委員長
日本の最大手通信キャリアに勤務の後、中国系通信キャリアの日本法人に転職。現在は企業向けのグローバル人材育成を支援する会社でコンサルタントとして勤務。 また、若者のキャリア構築に関心があり、勉強している認知科学を応用したコーチング理論を勉強しており、これまで延べ100名以上のキャリアサポートを行なった実績があります。 内閣府主催「日本・中国青年親善交流」事業における2020~2023年研修講師を担当。2024年には日本・中国青年親善交流事業に参加。