コロナを前向きにとらえるか、後ろ向きにとらえるか

これが最後の留学レポートとなりました。今後留学する予定がある人たちは今、コロナの影響でとても不安な思いを抱いていると思います。私を含めた2019年度の公費留学生の多くは前期終了後帰国し、後期は日本でオンライン授業を受けて留学終了となりました。先が読めない状況の中、情報収集に努め留学準備をしなければならない2020年度留学生の方々の不安の方が、コロナ発生当時中国にいた私たちよりも数十倍大きいと思います。同じ経験をした人がいないため、これから留学する皆さんにどんなメッセージを送ればいいのか悩みましたが、自分が考えたことを少しお伝えできればと思います。

他人と異なる経験は強みになる

私は1 月末に急遽帰国し、2月から急いで就活を始めました。自己紹介の時など、雑談がてら留学の経緯や帰国に至った状況などを話すことが多くありました。留学の先が見えないことで落ち込んで、、、ではなく、この機会を活かして就活に励んでいます!と伝えると、当時は留学半ばで帰国して就活、という学生は少なかったようで、興味を持ってもらえたような気がしました。自分の力ではどうにもならないこともありますが、「○○だったから××できなかった」と自身を納得させるのではなく、「○○の状況下であっても、こんな工夫をして△△できました」といえれば周りに差をつけられるのかもな、と思った次第です。

私自身、現地での留学が半分しかできなかったことについて、相手からすごく同情される状況(「本当に残念だね」「運が悪いね」「かわいそう」等)によく出会いました。相手は慰めるために言ってくれているので、悪意は全くないのですが、このような意見を聞き続けて自分でもそう思い始めると、本当はできる可能性が狭められてしまうような気がしました。家族も、「コロナがなければ今頃留学先で○○してただろうにね、」と言うのですが、聞くたびになんとも言えない気持ちになります。私ももちろん、コロナのない通常の留学ができていたらどれだけよかったか、とは思いますが、思っても現実は変わらないし、考えるだけ無駄かなとも思います。それよりも、今できることを考えた方が有意義だなぁと。新しい状況に立ち向かっている分、他の人よりも変化への対応力が磨かれますし、今までとは違ったやり方を試すチャンスなのだと思っています。

今、留学先に行けるのかどうか分からず、不安に思っている方も、自分はこんな特殊な状況に初めて立ち向かっている人間なのだ!と思うと、少し気持ちが変わるかもしれません。数年後に振り返った時、困難だった経験はきっと身を助けてくれると私は信じることにしています(個人の主観的な意見です。本当につらい時は助けを求めるべきだと思います)

他の公費留学生も書いているように、今回の件を通じて、まさに”思い立ったが吉日”なのだと実感しています。その中で、留学という選択肢はとてもおすすめです。後期まとめレポートにも書いたように、私は留学を通じてより自由な自分になれたと感じています。

これからも、できないことよりもできることに着目して、前進していきたいです。そのような考え方に至らせてくれた留学と、留学の機会を下さった皆様に感謝いたします。(浙江大学 外舘祐希 2019年)

ABOUT US
Ryohei ISHIZUKA京都府日中友好協会 青年委員会青年委員長
日本の最大手通信キャリアに勤務の後、中国系通信キャリアの日本法人に転職。現在は企業向けのグローバル人材育成を支援する会社でコンサルタントとして勤務。 また、若者のキャリア構築に関心があり、勉強している認知科学を応用したコーチング理論を勉強しており、これまで延べ100名以上のキャリアサポートを行なった実績があります。 内閣府主催「日本・中国青年親善交流」事業における2020~2023年研修講師を担当。2024年には日本・中国青年親善交流事業に参加。