あっという間に、前期が終わってしまいました。9月の初めに中国へ来たので、もうじき滞在5か月になります。留学中の授業の半分が終わってしまったとは、とても信じられません。留学に来る前は、留学経験者が口を揃えて「あっという間だよ!」というのを割と聞き流していました。「そうは言っても1年(正確には10か月)あるし…」と。けれども、今はものすごく理解できます。留学中の時間の流れは、普段と比較にならない程はやいです!ここでは、前期の学習と生活を振り返ってみたいと思います。
まず、学習面です。私は平日毎日授業があり、週に4日は午前中で授業が終わりでした。そのため、放課後は課題や復習をしたり、友達と遊びに行くなどしていました。私は1年の留学なので、今のうちに旅行に行っておかなければ!というような焦りはそれほどありませんでした。そのため比較的余裕を持って予習復習に取り組めたと思います。(半年留学の場合、時間がないので週末に旅行を詰め込んでいる人を多く見かけました。) その甲斐あってか、試験の成績も納得できるものでした。一安心です。
留学に来て変わったのは、リスニング力と会話力だと思います。日本にいるときは、リスニングとしては教科書の音声を聞くくらい、会話に至っては、自分が思っていることを中国語で発したことは全くありませんでした。そのため、公費留学の面接時、中国語で質問をされても、全く聞き取れない、そして何か言おうにも中国語では何も頭に浮かんでこない、という状態でした。(今思い出してもひどい有様です…) 留学開始後も、最初の授業時は先生が何を言っているのか全く聞き取れず、絶望的な思いをしました。ですが不思議なことに徐々に耳が慣れ、今では先生が話していることがわからないことは、ほとんどなくなりました。中国人と会話するときも、相手がこちらの理解に合わせて、ゆっくり話してくれれば理解できます。ただ、ニュースや映画はまだまだ聞こえてきません。字幕があれば理解しやすくなりますが、それでもスピードに追い付きません。
実を言うと、留学以前は中国語を話すことに一種の抵抗というか怖さがあったのですが、今は言い間違いも特に気にしなくなりました。海外の友達を見ると、たとえ声調が間違っていても自信を持って話しています。それを見て、文法や声調の間違いなど気にせず、とりあえず話してみるようになりました。自由に話せるというのには程遠いですが、食堂で注文するときや、街で何か尋ねるときもスムーズになったと思います。少しでも話せるようになると、語学の楽しさは倍増する気がします。
次に生活面です。振り返ってみると前期の生活はとても充実していたと思います。学期中、2回試験があったのですが、それぞれの試験後に友人たちと旅行へ行きました。中間試験後は四川省の九寨溝へ、先週は上海ディズニーランドへ行きました。とても学生らしい楽しい思い出になりました。普段の週末も、映画やカラオケ、トランポリン、猫カフェへ行くなど、勉強と遊びとメリハリがつけられたと思います。
中国の生活で、日本と大きく異なるのは情報収集面だと感じます。10月頃に学内の食堂で食中毒が発生したことがありました。70人ほど病院に行ったそうです。かなり重要な案件なのにも関わらず、学校は公式の情報を出しませんでした。私が食中毒について知ったのも、中国人の友人からの連絡でした。このように、自分の安全に関わる情報がしっかりと提供されないことも多いので、自分から情報収集することが大切です。今回の肺炎についても、今こそ中国国内でも大きな話題になっていますが、ほんの4日ほど前まではあまり心配されていませんでした。正しい情報を得ることがどんなに大切かを実感しています。そして今も中国にいる以上、感染への不安は拭いきれません。
留学では、語学はもちろんのこと、それ以外の面で学ぶところも大きいです。日本の大学では、自然と自分と似た考え方の人が集まってくるので、気づかぬうちに居心地のいい場所に属しています。ですが留学では、国や文化の異なる人が一緒に学ぶことになります。その中で改めて、自分はどんな時に楽しいと感じるのか、逆に嫌だなと思うのか、また自分ってこういう人間なのか、と客観視する機会になります。後期は、中国語を話す機会をもっと増やすこと、中国語を話しても外国人とばれないような発音を身に着けること、など沢山の目標があります。言うは易く行うは難しな「ペラペラになる」ですが、できるかぎり高みを目指して頑張ります。そして絶対にHSK6級を取れるようがんばります。(浙江大学 外舘祐希 2019年)