中国での留学生活も、はや折り返し地点を過ぎようとしています。
振り返ってみると、月並みな表現になりますが、あっという間の一学期間でした。それもこれも、中国に来てから一日一日と集中して中国語の勉強に取り組めた証だと思います。(ただ、外国語ばかりに触れていると知らず知らずのうちにストレスがたまるもので、日曜日くらいは思いっきり日本語に触れてリフレッシュしています…)語学というものは毎日少しずつしか向上しないので、この5か月足らずの間でどれくらい成長したか、自分でもあまり実感がありません。ですが、きっと大いに成長したことでしょう。とはいえ、現地に来てまず実感したのは、中国語の壁の高さです。これは、1年やそこらの時間で到底極められるものではないと切に感じました。
まず、自分の語彙力不足を痛感しました。中国語では何が何でも漢字を使って表すので、日本ではあまり見かけない漢字がたくさんあったり、悠久の歴史に由来する故事成語がたくさんあったりします。勉強するたび、読めない漢字やわからない四字熟語にぶつかるのですが、そういう言葉でも後から中国人が普通に使っているのを聞くと、難しくてもちゃんと覚えなくては、と単語を覚える際の意識が変わりました。次に、日本語で頻繁に使っているはずの熟語でも、中国語で発音されると反応が遅れがちになります。単語の意味を理解したころには、文章がどんどん先に進んでいるので、単語は聴き取れても文章全体は聴き取れない、という現象がよく起こります。だから、今は、一回覚えた単語でも繰り返しディクテーションするようにして、何とか単語の反応速度を上げようとがんばっています。残り半年ほどしか時間はありませんが、これからも一日一日を大事にして、自分の中国語力を何とかネイティブレベルにまで押し上げたいです。
前期を振り返ってみて、もう一つお話したいのはルームメイトのことです。中国での留学生活は二人一部屋が基本になりますが、ルームメイトによって留学生活の質が決まるといっても過言ではありません。(留学生だけでなく中国人学生も、基本キャンパス内にある学生寮で一部屋を複数人で共同利用して暮らしています。これは、中国の大学に特有の、しかもかなり伝統的な文化です。)
私のルームメイトはタジキスタン人で、イスラム教を信仰しています。毎日部屋で礼拝をしていたり、豚肉や酒を口にしなかったりと、最初のうちは文化の差を感じることが多々ありました。しかし、一緒にいる時間が長くなると、たまに礼拝をサボったり、勉強のあいまにスマホをいじくったりするような一面も、はたから見えてきて、少しずつですが、文化は違えどやはり同じ人間なのだなあ、という印象を抱くようになりました。もちろん、完璧な人間がいないように、ルームメイトに当たりはずれとかはありません。しかし、相性というものは少なからずあると思います。ルームメイトは自分で決められないので、留学を計画しておられる方は、前もって覚悟しておいた方がいいと思います。
二人して同じ屋根の下で生活する以上、たまにイラっとすることは避けられませんが、他方、ルームメイトがそばにいることで、助けられることもまたあります。例えば、この前、おそらく僕の不注意で、部屋の壁にカビが大量発生することがあったのですが、そのときもルームメイトが一緒になって掃除してくれました。もしもルームメイトがいなかったら、きっと一人で途方に暮れていたことでしょう。二人一部屋で住むのはなかなか大変なことですが、外国人と、しかも中国人以外の外国人と、こうして生活するというのは、今後経験できないであろう貴重な経験だと思いますので、残りの半年間もルームメイトと協力してやっていきたいです。(佐野聡 南京大学 2019年)