上海の交通事情

 早いもので留学も4か月が経過しました。大学の冬休みは1月頭から2月下旬までとかなり長いため、帰国する人もしない人も冬休みの過ごし方の話題で持ちきりです。多くの人が中国国内外での長期旅行を計画しているようです。

 私個人でいえば比較的突発的に出発するのが性に合っていることもあり、まだどこにいくのかいかないのかは決めていません。ただ寒いのがあまり得意ではないので、普段の休みだといけない距離の、南の方を見に行けたらなあと考えています。

 さて旅行といえば重要になってくるのが交通機関ですが、私が中国に来て一番イメージが大きく変わったのもこの中国の交通事情についてです。

 私は留学前1日だけ上海に訪れたことがあるのですが、その際は地下鉄を降りた後で迷子になり、タクシーを呼ぶことすら苦労しました。要因としては中国語で地図を読むのが苦手だったため現在地がわからなかったこと、まだ中国のアプリなどが使えなかったこと、中国語ができず人に聞く勇気がなかった、などなど……。そのため、留学前は漠然と中国での移動手段に不安感がありました。

もちろん異国の地に訪れたわけですし、交通手段について説明を受ける機会なども通常あまりないと思うのでこの時はしかたがなかったなと思うのですが、留学に来て以降、中国の交通機能はむしろかなり便利だと気づきました。

 まずは何といっても以前から何度か言及しているレンタルサイクルですが、私は本当にこのシステムが大好きです。人によるとは思いますが、片道2時間ほど自転車を漕ぐことに抵抗がなければ基本的にはこれだけで上海市内は大体どこへでもいけてしまうくらい。自転車だと外の景色を思う存分観察できますし、気になる場所があれば一度降りて散策することも自由です。それでいて1か月17元(340円ほど、買う場所やタイミングによる)ほどですので、学生にとってはなんともありがたいサービスです。ただし、観光地の一部や農村地帯ではかなり広い範囲で停車できなかったりサービス提供圏外だったりすることも多いので、使えない場合を念頭に置くことも重要だったりします。

 それから地下鉄に関してですが、これもかなり清潔で便利な仕組みになっていて驚きました。私は最初日本の電車の「時刻表に沿って時間通りに電車が来る」というのが身に染みついていたため、中国の何分ごとに次の電車が来る(かつ間隔も時間帯によって異なる)というのは不便だろうと思っていたのですが、全くそんなことはありませんでした。上海市内の地下鉄では「何分後に次の電車が到着」というのが秒単位で表示されていますし、「車両ごとの混雑具合」などもわかります。完全に守られているとは言いませんが、車内でのイヤホンなしでの動画視聴や飲食は禁止されていますし、かなり過ごしやすい空間だと感じています。駅に入る際に毎度手荷物検査が必要なことだけはまだ少し面倒だと感じていまうこともありますが……。

 そして最後にバスですが、最近これがかなり便利だということに気が付きました。こちらも何分ごとに1本、といったような仕組みで時刻表ではなく等間隔での発着がほとんどなのですが、地図アプリで何分後に到着するか・現在バスがどこにいるか、などを追跡することができます。また一部ローカルな線だと乗車時に行き先を告げて料金を乗務員に支払うようなバスも経験しましたが、基本的には一律2元(40円ほど)で最後まで乗っていられるため、かなり経済的です。

 前回のレポートで“特殊兵式旅行”では高铁ではなく火车、かつ深夜/早朝の便を利用すると言及しましたが、この地下鉄の終電が終わった後の火车移動にもバスが活躍します。上海の地下鉄は23時前後と比較的早く運航が終了するため、0~5時の間に深夜バスが運行しています。こちらは大抵時刻表制となり、30分に1本ほど各地点から火车站などを経由する路線が日中と同じく基本2元で乗車可能です。

他にも深夜の火车の硬座(一番安い席)ではほとんど席確保が機能しておらずみんな自由な席に横たわっていたり、ほぼバイクのような小さいタクシーのようなものが町中を走っていたりと、上海の交通事情は興味深いことでいっぱいです。

この冬休みは上海だけでなく、他の都市の交通機関も積極的に体験していきたいと思っています。(間中千裕、2023年、復旦大学)

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Ryohei ISHIZUKA京都府日中友好協会 青年委員会青年委員長
日本の最大手通信キャリアに勤務の後、中国系通信キャリアの日本法人に転職。現在は企業向けのグローバル人材育成を支援する会社でコンサルタントとして勤務。 また、若者のキャリア構築に関心があり、勉強している認知科学を応用したコーチング理論を勉強しており、これまで延べ100名以上のキャリアサポートを行なった実績があります。 内閣府主催「日本・中国青年親善交流」事業における2020~2023年研修講師を担当。2024年には日本・中国青年親善交流事業に参加。