今月のテーマは「留学中に取り組んだ日中友好活動」ということですが、新型コロナウイルスの影響で、私自身、残念ながら「日中友好活動」と呼べるような活動はできませんでした。中国人学生(卒業年次の学生は除く)でも帰校が許されなかったので、第1学期中に出会った中国人の友人とも結局会えずじまいでしたし、2月から南京の日本人学校で講師ボランティアをする予定でしたが、それも中止になってしまいました。
「日中友好活動」と呼べるほどでないにしろ、中国滞在中に何か自分が中国人の役に立てたか、頭をふり搾って考えたところ、些細なことですが、中国で道案内した記憶が思い浮かんできました。外見からは日本人も中国人もあまり区別がつかないので、中国で街を歩いていると、よく地元に住む中国人だと思われて、おじさん、おばさんから道を訊かれることがあります。日本ではせいぜい年1回くらいしか道を訊かれなかった私ですが、留学中の1年間で計5~6回は道を訊かれたので、確実に中国人のほうが日本人より積極的に道を訊く傾向があると思います。今どきスマホを使えば済む話なのですが、中国のおじさん、おばさんはスマホの使い方が分からないのか、はたまた単に人好きなのか、見ず知らずの私にも構わず話しかけてきます。また、日本に帰ってから気づいたのですが、中国の街中には実物の地図案内が全然設置されていなかったので、その影響もあるのかもしれません。(デジタル化が進む中で多くが既に撤去されたのかもしれませんが…)
肝心の道案内ですが、発音がしっかりしていれば日本人だとばれることはないと思います。「このまままっすぐ行ってください」「○○路ところで右に曲がってください」「地元の人じゃないので分からないです」といった簡単なフレーズを二言三言言えば大丈夫なので、私自身も日本人だと思われたことはないと思います(多分)。そして、たかだか道案内ですが、自分の中国語が伝わるとやはりうれしいものですね。(佐野聡 南京大学 2019年)