突然ですが、今回は映画の話です…
みなさんは「少年的你」という映画をご存知でしょうか?映画チケットの売れ行きのことを中国語では「票房」と言うのですが、11月29日時点で15億元超えという大ヒット映画です。周りの日本人留学生に聞いても、ほぼ全員が観たと言うし、先生も強く推薦していたので、私も観にいくことにしました。
木曜日の午後はちょうど授業がなかったので、16時開演の部をアリペイで予約して、意気揚々とでかけたのです。話題作なのだから、さぞかし人でごった返しているんだろうなあ、と思い、映画館に入ってみると、なんと観客は私ひとり。開演ギリギリにこれまた大学生風の女性客2人組が入場したきりで、なんと贅沢も哀しき鑑賞体験でした。このままでは、“日本でも中国でも平日の真っ昼間から映画を観に行く暇人なんてそうそういない。みんな忙しいのだ。”という話になってしまうので、映画のお話をしたいと思います。
この映画のテーマはずばり“学校のいじめ”です。中国の小中高に私は通ったことがないので、実際にどんな風なのか何とも言えないし、あまり想像も及ばないのですが、映画を見る限り、いじめは中国でも社会問題化しているようです。学校ひいては社会の中で息苦しさが蔓延している今日にあって、国がどこであろうが、人々の心の奥底はあまり変わらないようです。ただ、映画の中で、いじめ問題が「高考」(中国の大学入試統一テスト)と結びつけて描かれていたのが中国的でした。日本では、いじめと大学入試の関連性が中国ほど強くないように思われます。
日本でもさほど映画館に足を運ばず、映画に疎い私は、失礼ながら中国の映画に対して、戦争映画みたいなのが主流という先入観をもっていたので、「少年的你」の質には感心しました。特に、観る前は敵と味方、善悪がはっきり分かれていると予想していたのですが、主人公側にも罪の一面が、また悪役側にも被害者の一面が描かれているところに感心しました。100%白黒つけられないというのは日本映画にも通じるところですし、現実世界を的確に表現している点です。とはいえ、最後のオチは少々大げさな気がしますが……みなさんも機会があったらぜひ御覧ください!
(最後の写真は映画とは関係ありませんが、中国の宅配物のようです。中国では11月11日は「双十一」と呼ばれ、ネットショッピングが一番熱い日になっています。写真は「双十一」後の宅配物の様子です。ネットショッピングで買った品物は自力で探し出すのが中国スタイル。)(佐野聡 南京大学 2019年)